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今回のCDの解説書で「作られて四半世紀近くになった二十絃箏の奏者として山田明美さんは第三世代の代表といってよいでしょう」と三木は語る。山田明美は65年生まれで、日本音楽集団とNHK邦楽技能者育成会で学び、以後多方面で演奏活動を続けている。楽器そのものの誕生と軌を一にして成長してきた山田は、まさにこれからのこの分野の期待をになった存在なのである。とりあげられている作品は三木稔が21年かけて作曲した『箏譚詩集全四集』である。作曲者の説明によれば「具象的・日記風」であり、聴き手の四季のうつろいの感覚をもとにして自由に楽しめるものである。この楽器の新しい旗手の今後に注目していきたいと思う。(レコード芸術 1998年2月号 船山隆)


<録音評>
97年伊勢原市民文化会館で録音。箏のソロなので録音しやすいのかもしれないが、一聴して他の現代曲CDとは音が違う。力と厚みがあり、輝きと艶のある音、トランジェントがよく、アタックと余韻がみごとだが、決して耳を刺すような刺激的な音は出さない。実にのびのびとした音だ。音像は箏のサイズに見合った大きめのもの。エコーはナチュラルで空間表現もいい。(レコード芸術 1998年2月号 長)


山田明美は1984年日本音楽集団に入団、ソリストとしても広範に活躍している。見事な技術と明快な作品への解釈にもとづく優れた音色をもつ演奏だ。録音もよく現代邦楽の一端をになうこの作品の模範的なCDといえる。(音楽旬報 1998年3月11日)



  (1994年12月7日 津田ホール)


「萌芽の時」
ともに「日本音楽集団」で活躍する若手演奏家で、山田は昨年のリサイタル「三木稔・箏譚詩集全曲初通奏」で話題を呼んだ。

 佐藤容子作曲『Patch Works 1×1』(委嘱初演)マリンバ:臼杵美智代 二十絃箏:山田明美
佐藤容子はそのユニークな感性を最近注目している作曲家で、この曲も二人にはちきれんばかりの躍動感を引き出している。

 三木稔作曲『竜田の曲』
二十絃箏独奏曲としてスタンダードな曲であり、かなりのテクニックを要する曲のようだが、山田はズバ抜けた表現力でメリハリを効かせ、ものすごいスピードで弾き通す。

 三木稔作曲『ラプソディー』(初演)
前曲で見せた豊かな表現力にこの人の二十絃箏へのパッションが加わり、音楽空間がよりグレードアップする。昨年の『箏譚詩集』の全曲通奏が明らかな礎として見える。

音楽集団のコンサートでは見られない二人の感性と技量が見えたことは収穫であり、集団の中で若い芽が確実に成長していることは30年の時間の重さとして感慨深い。(邦楽と舞踊 平成7年2月号より抜粋 笹井邦平) 




 (1993年10月1日 サントリーホール小ホール)


「区切りと始まりと」

日本音楽集団の若手奏者山田明美のリサイタル。三木稔作曲の『箏 譚詩集』を全曲通して演奏するという、初めての試みである。『箏 譚詩集』の「第1集・冬」の初演は昭和44年、そして「第4集・秋」の上演による完成が平成2年と、足掛け21年の歳月をかけて作られた二十絃箏の巨大な宇宙ともいうべき作品を山田がどのように弾きこなしていくのか、楽しみの多い演奏会となった。そして、この意欲的な山田への心強い応援として作曲者である三木稔が特別出演「お話」を買って出ている。

「第1集」ではまず「あこがれ」がいい。山田自身の二十絃に寄せる遥かなあこがれとオーバーラップするような演奏である。「冬の夜」もどこか明るい、ぬくもりのある音で好感が持てる。「第2集」は後半を買う。「里曲」は段物の如き古格、「華やぎ」はまばゆいばかりの響きなど高水準の演奏。「第3集」は「サヌールの舞姫」が心地好い、地上の楽園のようなメロディーを聴かせて印象深いが、何といっても「雨ざんざん」が圧倒的な力強さで確かな手ごたえを感じることができた。「第4集」では「案山子考」の戯画的な仕上がりが楽しい。「オズの魔法使い」の案山子男にも通ずる魅力がある。

以上の全曲通しによる演奏、二十絃箏の歴史の一つの区切りと、また新たなる創造の始まりを感じさせる、期待にたがわぬものであった。そしてこれからの二十絃箏の歴史の中で、山田が大きな役割を果たしていくであろうことも、また疑いようのない事実となったといえよう。(邦楽と舞踊 平成6年1月号 山ア泉)




まず10月1日は新人山田明美の二十絃箏リサイタルで、三木稔の「箏譚詩集」の全曲演奏を行なう。最初にピアノを学んだということで、上体に余分な表情があり特にその表情が、箏の平常求めているものと違うという違和感が初めはあったが、やがてそれは止んだに近く、非常にすぐれたリサイタルになった。夏・秋のような、作曲者に馴れが生じた段階で、演奏の方は二十絃を生かし、演奏者の個性を生かし、また曲そのものを生かす演奏ができるようになった。かなりみずみずしいデビュー・リサイタルである。(邦楽の友 平成5年12月号 長尾一雄)